こんにちは。私はチユと申します。え、おまえ見たことないけど、誰って?あ、い、一応技術部に所属しているはずなのですが……
リーマンサット参加のきっかけ
昨年の秋頃、たしか「宇宙メルマガ THE VOYAGE」でリーマンサットのことを知り、「素人でも人工衛星が作れるなんて?!!?」と飛び込んでみました。しかしながら、何でもすぐに手をつけるのが悪い癖の私は、同時期に始めていた労働組合の書記長というとても忙しいポジションやら、すでに始めていた宇宙飛行士選抜試験の準備やら、宇宙飛行士選抜試験のために取り始めた運転免許の取得やら、そもそも犬の散歩などの日常のchore(雑用)で1日がつぶれてしまう日々を送っており、まだリーマンサットの活動はロクに何も出来ておりません。1回、人工衛星の仕様書の勉強会に参加したくらいで、専らみなさんのチャットや記事の読み専です。
テクノロジーのテの字も工学に詳しくないど素人のくせに、「ウイルスのまん延している場所を検知出来る人工衛星を作ろうよ!!」などと、自分には出来もしない壮大なことをチャットで叫び、何もしたことがない、それが私です。そんな私のリーマンサット初の活動がまさか宇宙飛行士選抜試験の体験記になろうとは……!
宇宙飛行士選抜試験の準備とは
2020年の秋、宇宙飛行士選抜試験が実施されることが細々と報道されていたものの、まだ世間の人の大半はそんな試験が実施されることなど知らず、友達に一緒に受けようと言っても「宇宙飛行士選抜試験……?そんなの本当に実在するの……??」と言われていた頃。
私はとにかくまずは対策を立てようと、部屋をひっくり返し、「どこかにあったはず」と2008年度の宇宙飛行士選抜試験募集要項のプリントアウトを探していました(結局みつからず、ネットで拾いました。おかげで部屋が非常に片付きました)。
その数日後には自動車教習所へ向かいました。運転なんて超怖いし、自動車免許など一生とるつもりはなかったのですが、2008年の選抜試験募集要項ではアメリカで使用するという理由で免許の取得が必須だったためです。
それから、筋トレを始めました。私と他の宇宙飛行士候補者を並べて比べた時、どう考えても真っ先に落とされる要因になるのが体型だなと思ったためです。毎日YouTubeの筋トレやらスクワット40回を続け、1番太っていた時からは10kg近く体重を減らしました。ウエストも10cm減、体脂肪率も3%くらい減りました。
痩せよう、とは思っても、自分のようなデブが1年や2年の短期間でオリンピック選手並みの体型になるのはムリですから、ここまで痩せれば選抜試験候補者としてOK、みたいな目標を定めようと思いました。宇宙飛行士選抜試験では、眼科試験はパイロットの基準、学力検査は国家公務員試験など、他の国家試験系の基準を準用していることが多いように感じたため、体型は自衛隊の身長に対する体重の基準値の表にならって設定しているかも……みたいな研究を結構やっていました。
2008年の選抜試験の後に買ったロシア語の初心者本を引っぱり出してきたり、テレワークが始まってからなぜか視力が大分落ちてしまったので、視力向上アプリをインストールしたりと、他にも迷走話には事欠きません。
結局、2021年度の宇宙飛行士選抜試験からは運転免許はサクッと抹殺され、体型についても選抜後に調整出来ることから不問と書かれてしまい、視力条件も緩和され、上のような努力はなかなかに意味がありませんでした。そんなことをするくらいなら選抜試験と傾向が似ていると言われていた国家公務員試験の勉強をしておけば良かったなと思います。
けれども、以前は好きなものを文字通り好きなだけ食べて何キロ太ろうとも気にもならず、痩せる時も残業のせいで気がついたらたまたま痩せていたなど、自分の意思で体重をコントロールしたことがなかったのですが、人生で初めて自分の意思でダイエットに成功したこと、
おかげで見た目にも気をつかうようになったこと、
2008年の募集要項を探すために部屋を片付けられたこと、
その過程でなんでもかんでも記念としてとっておくのではなく、いらない物を捨てるということを覚えたこと、
他の同世代の人たちがほとんど所持している運転免許証をようやく自分も所持できたこと、
努力に時間を費やすことにより、だらだら過ごすのをやめられたこと、
などなど、宇宙飛行士を目指す過程で実施した、このおかしな努力からも得たものは多かったように思います。
なお、思い返してみれば、新卒時にいた最初の会社を選んだ理由は「学卒でも開発職に就いたり論文を書いたりできるチャンスがあるから」でしたし(これも2008年度の募集要項)、私は留学していた経験があるため英語が得意ですが、英語を学ぼうと思った理由に宇宙飛行士が全く意識されていなかったと言ったらそれはうそになるかもしれません。
自分では結構冒険しない堅実なタイプの人間だと思っているにもかかわらず、人生の様々な選択が意外と宇宙飛行士に絡んでいたことに自分でもびっくりします。
同じく2008年度の宇宙飛行士選抜試験の頃から宇宙飛行士を目指していた同世代(30代)の人たちの中には、子供の頃から宇宙少年団に入っていたような人もいて、そういうの、エントリーシートに書けたら強いんだろうなあとちらっと思ったことがあります。宇宙飛行士選抜試験の対策って、いったいいつから始まっていたのでしょうね。
選抜試験の受験を会社の人からも応援してもらうには
20代も後半になるくらいまで、友達とかに博物館の宇宙物の展示とかに誘われると、「あっ!○○ちゃんも宇宙好きだったんだ?!知らなかったなあ」と感じていました。まさか友達が私の趣味にあわせてくれているとは思っていなかったくらい自分以外の人も全員宇宙に興味があるはずだと思っておりまして。が、しかし、年をとるにつれてそれが間違いであることを知り始め、だんだん宇宙好きを全面に押し出すのが恥ずかしくなってしまい、今の会社に入ってからは特に、キャラづくりのためにも、あんまり人前でウチューウチュー言わなくなってしまいました。
宇宙飛行士選抜試験ファイナリストの内山崇さんの著書「宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶」の中に、JAXA勤務の内山さんですら、仕事を抜けて宇宙飛行士を目指すことについて上長にいい顔をされなかった、というような描写が御座いました。それを読んで私は、もし自分が3次試験に進んだ時には会社にすんなり受け入れてもらえるようにしようという謎のたぬきの皮算用をし、最近自分からまた他の人に宇宙の話をするようにし、宇宙好きであることをアピールし始めました。
そうしたら、なんと、弊社(宇宙とは全く関係のない業界)でも実は火星と関わりのある事業をやっていたということを上長から教えてもらえたり、関連会社の人から宇宙関係の、本来参加出来なかったはずのクローズドのイベントに呼んでもらえたりするようになり、自分が好きなことは、きちんとアピールしておくことによって、情報をもらえるようになるんだいうことを学びました。
宇宙飛行士選抜試験って、「宇宙飛行士に、転職だ」っていうキャッチフレーズにもある通り、転職活動っちゃ転職活動じゃないですか。私も、3次試験とかに進んで、絶対に会社に言わなくてはならなくなるまで選抜試験受けることは黙っておこうと思っていたんですよね。
ところが、宇宙好きアピールを続けていた結果、室長のほうから「チユさんって、もしかして最近テレビとかでやってる宇宙飛行士選抜試験受けるの?」と、お声をかけて頂けて、会社に秘密にせずに今回の選抜試験を受けることが出来ることになりました。
こういったこともあるかもしれませんので、みなさんもぜひ、会社で宇宙好きをアピールしてみて下さい……
結果通知を受けとって
さて、書類選抜ですが、私はこのたび書類選抜を通過致しました。
私はこの冬に会社で部署内の異動があり、兼務のような状況が続いており、残業も増え、それにもかかわらず上のように何にでも手を出してしまう性格からも、正直なところ勉強する時間があまりとれていません。
ですが、リーマンサットの「宇宙飛行士選抜試験を受ける人々」チャットや、Twitterで、私よりもはるかに勉強のために時間を割いていた人たちが書類選抜を通らなかったのを見て、私が受かったことで落ちた方もいるはずなので、心を入れ替えて、睡眠時間を削ってでも意識的に勉強する時間をとろうと思いました。
本日から、心機一転、頑張っていきたいと思います。
<時計は内山さんの著書を読んで勢いあまって購入したアクチグラフ付きスマートウォッチ。ブランドメーカーのものと比べものにならないくらいとても安かった。>
宇宙飛行士選抜試験の日程についてはこちらをどうぞ。
2021年度 宇宙飛行士候補者の書類選抜結果について
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
https://www.rymansat.com/join
宇宙飛行士はもちろん、開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
【この記事を書いたメンバー】
宇宙飛行士選抜試験受験者 チユ
本業は薬事という、業界の人以外誰も聞いた事のない業務をやっている。受験戦争を経験したことがないため学力が悲惨で、0次試験を突破出来る気がしていない。