今日はrsp.(リーマンサット・プロジェクト)の衛星開発がどのように行われているのかをお伝えするため、技術部の各系が何をしているかを簡単にご紹介します。ちなみに「系」というのは、衛星開発プロジェクトを行うための機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在約10の系にわかれて2018年打上予定のキューブサット「RSP-00」の開発を行っています。
普段は各系バラバラに開発作業しますが、毎月の全体ミーティングの後にはこのように勢ぞろいして進捗の報告や確認を行ったあと、各系にわかれて開発を行っていきます。それでは早速各系をまわってみましょう。
まずは《プロジェクトマネジメント系》。直接開発は行いませんが、全体を見てスケジュールや進捗管理を取りまとめてRSP-00の開発を成功に導きます。今日はPCとにらめっこ?かと思えば次の瞬間は各系の間を飛び回っていました。
次は《ミッション系》。衛星の行うミッションを開発します。今日はRSP-00のミッションの一つ、デジトーカ(アマチュア無線を使った音声配信)のプログラミングと、後でご紹介するC&DH系との打ち合わせをしていました。
横のテーブルでは《姿勢制御系》が各々PCに向かって作業中。この系は衛星の姿勢制御をする部分を作っています。今日は衛星の挙動のシュミレーションの修正と、各種工程のチェックを行っていました。
お隣では《地上局系》《サービス系》が同じテーブルで各々作業中。《地上局系》は、衛星にコマンドを送信したり、衛星からのデータを受信する場所を作ります。こちらの写真は地上局用の無線機。これからrsp.仕様に改造するところです。
《サービス系》は、宇宙へ送り出した衛星からのデータを、皆さんに楽しんでもらえるようなサービスを作ります。色んなことを考えていますので、楽しみに待っていてくださいね!今日はあるサービスのプロトタイプを作成中。
真ん中のテーブルには《C&DH系》。C&DHとはコマンド&データハンドリングの略。衛星が地上からのコマンドを処理したり、地上へデータを送信する衛星の頭脳部分です。今日は衛星内部データ処理のソフトウェア作りでPC作業中。
お隣は《熱構造系》。
宇宙空間では太陽が当たる場所と当たらない場所の温度差が激しいので、その環境でも衛星が動作するかどうか機器の温度をシミュレーションしたり、衛星のフレームを開発したりしている系です。
今回は「熱とは…」と新しく熱構造系に入った方に熱設計の説明中。
ちなみに同じテーブルでは今週の8/5(土)6(日)のMaker Faire Tokyo へ出展する、衛星自撮り機構デモンストレーションの手直しを行っていました。
さて、手前のテーブルには《電源系》。
電源系は太陽電池からの電力をバッテリーに蓄えたり、各系統やコンピュータに電力を供給したりする系です。宇宙環境でも安定して動作することが重要となる部分の一つです。
今日は太陽電池の模擬回路を作っています。
太陽光パネルを再現するこの模擬回路を使って、発電量をシュミレートします。白い基盤が5枚写真に写っていると思いますが、rsp.の衛星は5面を太陽光パネルに使うので、模擬回路の基盤も5枚あります。
隣は《通信系》。地上からのコマンドを受信したり、地上へのデータを送信する部分を作っています。
無線機は小型衛星に使用されている実績のある物を使用しますので、そのデータを処理してC&DHに受け渡す部分やアンテナを開発しています。C&DH系が頭脳なら、こちらは衛星の耳と声、というイメージでしょうか。
今日は通信系のOBC制御コンピューターと、C&DH系のメインOBC(OBC=オンボードコンピューター、だそうです)を繋いで、やりとりがうまくできるかどうかを、オシロスコープの波形で見ています。
いえいえ、これは遠方メンバー用カメラを取り付けるためのアームです。その場にいなくても、カメラを自由に遠隔操作して開発に加わってもらいます。今回から参加の新人さんが、以前ご紹介したはんだ付けトライの新人さんと一緒に、「Arduino」を使いこなすための練習も兼ねて取り組んでいました。
こんな感じで、わいわいみんなで、DIYの延長みたいに自分の手で衛星開発を行っています。