こんにちは。広報部の成田です。
技術部のRSP-00熱・構造チームが3Dプリンターで5㎝ほどの小さな部品サンプルを製作していました。「レゴみたい」とはしゃぐ私に、「これはディプロイメントスイッチと呼ばれるものに使うんです。」と技術メンバーが教えてくれました。
「ディプロイメント…スイッチ…?」
初めて聞く言葉に好奇心スイッチがオンになり怒涛の質問をなげかけると、丁寧に説明してくれるメンバー。
しかし、聞き慣れない言葉が多くて、ちょっとイメージが掴めないし、なんかとっつきにくい…。
と、いうのも私はリーマンサットが宇宙開発デビューの超初心者なんです(^^;
この“とっつきにくさ”なんとか分かりやすくできないだろうかと考え、思い付いた方法が“イラストにしてみよう”でした。
早速ディプロイメントスイッチをイラストで解説スタートです。
「ディプロイメントスイッチ(命名:電源スイッチ)」は、人工衛星が国際宇宙ステーションから宇宙空間へ放出されると同時に、人工衛星の電源がオンとなる役目をもっているスイッチです。
人工衛星は、宇宙空間へ放出する前に誤って起動しないよう、ロケットに搭載することが要求されています。そのため、国際宇宙ステーションから放出されるまで人工衛星は電源オフ状態を保って収納されます。
そして、いよいよ宇宙空間へ放出されると電源がONの状態になります。
ここからはスイッチ開発を担当している矢野さんに聞きました。
Q“スイッチが1つではなく、どうして2つ以上必要なの?”
A.“人工衛星は安全のため、放出される前まで電源OFF状態でないといけませんよね。しかし万が一、1個がスイッチONに切り替わってしまった場合、もう一つのスイッチがONになるまで衛星は起動することがありません。
つまり、”万が一”の時に備えて2個以上付ける必要があるんです。”
Q“スイッチの仕組みを教えて!”
A.“放出からスイッチ電源オンまでは、
①放出機構内でスイッチが押し付けられているときは電源オフ状態
②ISSから放出すると、この部分の押し付ける力が解除
③格納されてる螺旋状のバネが弾かれる
④スイッチ部分のレバーがスッと押し出される
⑤電源オン、となります。”
“スイッチは、人工衛星の構体内で基板にスイッチ自体を固定しています。
押入れ状態の突出している棒は出たり入ったりする部分。ここがネジやバネが格納されている箱にねじ止めされているため、スイッチ起動のバネがピンッ!と弾かれると連動して動いて「スルスル~」と稼働するようになっています。
このバネのおかげでスッと押し出される動きが実現できるようになっているんです(^^)”
最初に製作していた部品サンプルはバネの格納部分でした!
スイッチを描きはじめてから「あ、これ、もしかして初心者向けじゃない…若干マニアックかも…」と思ったものの、もう止めれません。
朝も昼も夜もスイッチのことを考える日々は、まるでスイッチに恋してるようでした。
約3ヶ月後、今回のページに載せたイラストが完成!
「ようやく理解できた\(^^)/」
・・・と達成感に浸っていたところ、矢野さんから申し訳なさそうに連絡が。
「実はスイッチをもう1つ追加することになりました」
「なので“ディプロイメントスイッチは3つ”になりました。」
「え、あの・・・」
「3つ目はレールにつく予定で、スイッチの種類が微妙に異なっています。」
「……(固まる)」
打上げに向けた協議の中で、設計内容に変更が出ることは少なくない・・・とか。
びっくりしてしまいましたが、技術部のリアルな人工衛星開発の現場を実感しました。
さて熱・構造系チームは、現在3つめのスイッチの詳細な位置等を話し合っています。
3つめのスイッチは、また次の機会に紹介したいと思います。第2弾(?)でお会いしましょう。