広報部の成田です。
昨年、初夏の風清らかな若葉の季節のころ、リーマンサットに新しいアイテムが導入されたことをご存知でしょうか。
その名も「バックパネル」
バックパネルとは、記者会見のうしろでよくみる背景パネルです。
メトロック大阪、コスモプラネタリウムなど各種イベントをはじめ、初の打ち上げに向けて行われた記者会見など様々な場所でその存在感を発揮しました。
一応”宇宙開発団体”を名乗ってることもあり、きれいな地球を描いたアイテムは好きなんです(笑)
ただこのバックパネルの製作、裏側では“無茶ぶり短納期”だったとか…?(趣味の団体なのに…)
これがもし仕事だったら、ひんしゅくものですね(^^;
でもなんだか、このバックパネル製作の過程が面白かったので記事にしてみました。
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バックパネル製作のきっかけは、5月に出展した野外音楽フェス、メトロック大阪
広い敷地で自分達の団体を存分にアピールする方法を広報部で話し合った際、宇宙感を感じる背景画像を使用したバックパネルを設置し、宇宙ポストの自撮りフォトスペースを作るアイデアが出ました。
“メトロック大阪で宇宙ポスト投函用フォトスペースを作ろう”
この時点でイベント出展までわずか2週間。
音楽フェス会場のような広い場所で目立つことを考えると、大きいものであることが絶対条件!
運搬や設営を考えた結果、今回製作するバックパネルの大きさは約2mの高さになることに。
そもそも2mクラスで使用できる画像は結構なプロ仕様とのこと(^^;私は、どんな画像も引き延ばしたら使用できると思っていましたが、厳密にいうと解像度不足で使用できないそう。
まずはラフ画を作成し、バックパネルのイメージをメンバーで共有。
バックパネルの 要(かなめ)である “宇宙感を感じる背景画像”は、デザイン課所属の寺越さん(富山県在住)、山下さん(イタリア在住)が引き受けてくれました。
本業の二人が画像選定し、寺越さんが画像加工、細かい部分の色指定、ロゴマークの角度・・・など特急で作業してくださりました。
そのやり取りを少しだけ公開します・・・!
まず、寺越さんは、背景デザインを3案考案。(3つも!)
全案共通の背景デザインは、開発中のRSP-01が自撮り衛星なので、そのイメージで地球をバックに自撮りするもの。
その中で、ポスト位置を左側に設定し、地球とロゴマークが一緒に撮影できるようにレイアウトされたA案がとても良さそう。
特急だからといって決して手は抜かない二人。
“加工は加えます→B倍ポスターやビルボード製作の要領で行こうと考えています”
“もし工数が許すようでしたら、地球をもうちょい出してもいいかもしれません。撮影した時に地球と宇宙がある程度バランスしてフレームインするよう設計してくださっているのだと思うのですが、ブースが空いてる際、遠目から見たときの見栄えが良くなるかな、と。今を時計の12時-6時なのを、8時-1時の位置でL字にトリミングする感じとか…どうでしょう”
“あくまでご提案です!あと納期と寺越さんの工数が最優先ですので無理はなさらず…”
‟L時のトリミングは解像度の問題でできません。今の真正面でも目いっぱいなのです。地球を左にやや移動しました!”
“ブラッシュアップありがとうございます!
A案の収まりの良さ、気持ちいいですね!こちらの方が良さそうです!”
と、息もつかせぬやりとりでデザインを完成させ、A案を入稿!
まずはデザイン完了!
次は、このデザインを元にプリント業者さんへ見積もり依頼。
なんだ、思ったより早く届きそう。さすがリーマンサット!・・・となるはずだったのですが
メンバーからある要望が飛び出しました。
”せっかく野外フェスでも目立つバックパネルを作るのなら、屋内展示でも使える防炎加工もしたい!”
確かに・・・
リーマンサットでは様々な展示会に出展させていただいていますが、会場によっては防炎加工をした布製品でなければ持込みできないということがあったりします。
なんなら、出展するイベントのほとんどが屋内イベント。せっかく作ったバックパネルが屋内で使えないのはもったいなさすぎる・・・!
と、今回の製作で問題となったのが、特急でのデザイン成立と、納期内での防炎加工でした。
普通のプリントであれば、イベントには間に合い、野外フェスを盛り上げることができる。
防炎加工をするとなると、今後の屋内イベントでの活用はできるけど野外フェスには間に合わない
謎の宇宙団体が野外音楽フェスに乗り込んで”なんだあいつら?”と言われる絶好機を逃したくない・・・
”究極の選択だ・・・”と頭を抱えていると、メンバーの仕事仲間に”小ロットの印刷加工を得意としている業者さん”がいることが判明!!
そして、その業者さんが”防炎加工もできる”ことがわかり、さっそく相談
「タテヨコ2mのプリントと、防炎加工を合わせてやってもらえないでしょうか・・・○日間で(明かせない)」
「できると思いますよ」 来た!!!
結果、(有)トミサワさんに発注を超特急でお願いできることになりました。
そのやり取りを少しだけ公開します・・・!
“データサイズが2206mm角となっているので、その通りで良いでしょうか?”
“塗り足し分(トンボ)なので、そのままでOKです”
“ブラックの指定が、K100 C40となっていますが、通常ベタブラックではK100 でやるとのことですが、ここの指定のこだわりはありますか?”
“黒は宇宙の深みを出すのにリッチブラックになっているので、印刷媒体のインク許容範囲であればそのままでお願いします!”
業者さんとのやりとりが着々と進んでいきます。
時には
“本業の出入りが激しく切迫しています。ご指示は早めにいただければ幸いです! ”
と、メンバーからのヘルプもあったりします。その時には別のメンバーから
“いろいろ対応ありがとうございます!修正できるので、ソース投げてくれたら受けますよー”
など、あうんの呼吸(会ってないのに)
最終工程の入稿ぎりぎりまで細かい部分の確認作業をイタリアから、富山から、江戸川からとSNSを駆使し、本業の合間を縫うように奔走。まさに神速な対応でした。
そして、イベント2日前に完成。
その完成品をみたメンバー達からは、 “海賊旗素晴らしい!” “やりましたね〜これはいいものが出来た” “今後のイベント出展が一格も二格も上になるような出来映え” と、喜びの声。
いざ、大阪・メトロックへ!!
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さて、肝心のお客さんの反応は?
ドキドキしながらイベントで御披露目すると、多くの方がバックパネルの前で笑顔で撮影してくれている!ブースに来た人達が喜んでくれる姿を見て、“製作してよかった”と心から思う瞬間でした(^^)
デザインを担当いただいた寺越さんからは、
“それにしても恐るべしリーマンサット・プロジェクト !様々な人脈とスキルをお持ちの方がいらっしゃるのですね!”と驚きの声。
そうなんです。これこそ、リーマンサット・プロジェクトの強み、というか面白さだと思いました。
“もうダメか…万事休す”
あきらめかけると、どこからともなく颯爽と現れて“できるよ”と手が差しのべられます。そして、最初に想像していたもの以上のものが出来上がる。
そんな本人たちは、皆、自分の得意なことをしてるだけと言って、何事もなかったかのように去っていく。
デザイン、広報、マーケティングが得意な人、開発が得意な人、営業が得意な人、そしてそんな人たちを見るのが好きな人。。。
色々な人がそれぞれの得意分野を持ち寄って活動を行っているからこそできることが、リーマンサット・プロジェクトにはたくさんあります。
それは技術、広報関係ありません。
みんなの得意なことの延長線上で宇宙開発をする。それがリーマンサット・プロジェクトなのかな、って思いました。
今年はどんなことをしていこうかな……
【この記事を書いたメンバー】
広報部 イベント課 なりたゆか
とりあえず宇宙ポストに「ロケットの打上げが見たい!」と投函したら、そのメッセージが載ったロケット(と人工衛星)の打上げを見ることができたラッキーな人。6人のSMAPが好き。