リーマンサットRSP-03開発メンバーのMです。
私は主に人工衛星のハードウェア開発を担当しています。
リーマンサットで開発する人工衛星は、宇宙空間でも正常に動作することを保証するために、搭載する部品に対して、様々な信頼性評価をやってきました。
ロケット打ち上げ時の振動に耐えられるか確認するための「振動試験」
真空中でも問題ないか確認するための「熱真空試験」
宇宙空間で放射線を浴びても問題ないか確認するための「放射線試験」
など。
X線試験とは
RSP-03では、上記に加えて新たな信頼性試験として「X線試験」の導入を検討しています。
「X線」は非常に波長の短い電磁波で物質の透過性があります。
「X線」という名前自体は聞きなれない方が多いかもしれませんが、空港の手荷物検査でスーツケースの中身が透けて見える機械や病院のレントゲン撮影に使用されてたりと身近な存在だったりします。
そのX線を用いた特殊な顕微鏡を人工衛星で使う電子部品の観察に使えないかと考えました。
具体的には下記のような評価に使用する想定です。
・正常にはんだ付けができているかどうかの確認
・怪しい購入ルートの部品の真贋判定
・中が見えない部品の内部構造確認
今回、X線を用いた顕微鏡を使用する機会がありましたので、試験結果をいくつか紹介したいと思います。
X線試験結果
画像1 はんだ付けの確認
最初の画像は、基板上に実装した部品のはんだ付け個所を確認したところになります。
目視ではんだ付けを確認しただけではわからない微小な汚れが見えるのがわかるでしょうか?
一度、宇宙空間に衛星を放出すると、はんだ付けの不良があっても修理ができませんが、事前にX線試験を行うことで、衛星組み立て前のはんだ付けチェックができるようになります。
画像2 半導体の内部構造
次は半導体部品の内部構造の確認結果になります。
画像はマイコン半導体を撮影した結果で、中の構造は図のようになります。
昨今、半導体不足がニュースで話題になっており、正規ルート以外で部品を調達せざるを得ないことがあります。
非正規ルートでの調達だと偽造品が紛れている可能性があり得ますが、内部構造を比較することで同一部品かどうかの判断材料に使うことができます。
画像3, 4 半導体比較画像
最後に、モーターの内部構造画像を紹介したいと思います。
宇宙空間は真空になるので、内部が密閉されている部品が破損するリスクがあります。
あらかじめ内部構造を確認しておくことで、意図せぬ事故を防ぐことができるようになります。
画像5 モーターの内部構造
以上、X線試験の結果でした。
今後も工夫しながら各種試験を進めて信頼性の高い衛星を作れるようにしていきたいと思います。
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【この記事を書いたメンバー】
技術部 RSP-03 C系 / 電源系 M
旅とお酒が好きなエンジニア。東京在住、心は関西人