「#工場活動日記」は、超小型衛星RSP-03チームの「工場」での活動備忘録です。
「工場」とは、リーマンサットが借りている町工場の一室で、開発スペースのこと。リーマンサットメンバーが汗水をたらし、徹夜を越えたこの「工場」から、超小型衛星RSP-00、01が宇宙へ飛び立ちました!
2022年10月2日(日)
日記当番:吉田
天気:晴れ
活動人数:6人
お昼ごはん:とんかつ
おやつ:ミスドのドーナツ(開発メンバーの差し入れ)
こんにちは、C&DHメンバーの吉田です!本日の工場作業の様子をお伝えします。
■本日のお品書き
1. 放射線試験準備
2. システム要求の整理
1. 放射線試験の準備
先週に引き続いての作業です。
試験用の基板を作成するメンバー。
細かい部品を基板の決まった位置に正しく載せるため、顕微鏡を使って作業しています。
基板に部品を載せ終わったら、今度は基板をヒーターで熱して部品を基板に接合させます。
基板を熱すると、基板に塗ってあったはんだが溶け出して部品と配線とをくっつけるのです。
先月参加のソフトウェアメンバー(左)がデバイスドライバの動作確認を行う様子。
デバイスドライバの開発は初体験とのことでしたが、他メンバーと一緒にもりもり作業を進めてくれています。
2. システム要求の整理
音楽衛星RSP-03を作る上で、衛星内部の各システム(通信、ミッション、電源、などなど)に対して互いにどのような性能要求や機能要求が必要なのかを整理している様子。
オンラインで参加してくれたメンバーと一緒に、要求項目をチーム横断で議論しています。
要求を細かく吟味していくと項目数が数百個単位に。。。これをうまくまとめるのが技術力とチーム力の見せ所です。
2022年10月9日(日)
日記当番:おすぎ
天気:曇り→雨
活動人数:5人
お昼ごはん:中華
おやつ:チョコレート、パイの実
RSP-03でC系、T系、P系、G系…といろいろ開発しているおすぎです。
悪天候にも負けず本日も放射線試験に向けた準備等々活動しました!
■本日のお品書き
1. 放射線試験準備
2. 基板部品実装
3. 通信系テスト基板インピーダンス測定
4. アンテナ実験準備
5. 国際周波数調整用資料作成
1. 放射線試験準備
先週に引き続き10月に予定されている放射線試験の準備を行いました。
本日は試験で使用するケーブルの作成と供試体(実際に放射線を照射する試験物)の作成を行いました。
2. 基板部品実装
電源系のブレッドボードモデル*が届いたので部品実装を行いました。
キューブサットは10cm x 10cm x 10cmの小さなスペースにすべての部品を納める必要があるため、基板で使う部品も1.0mm x 0.5mmサイズの米粒よりも小さな部品を使っています。
このくらいまで部品が小さくなってくると目視で正確な位置に部品を載せるのが難しくなってくるので顕微鏡をつかって作業を行いました。
*ブレッドボードモデル:通称BBM。衛星開発では実際に宇宙に飛ばすフライトモデル(FM)の前にBBM、エンジニアリングモデル(EM)を作り試験・検証を行うのが一般的とされている。
3. 通信系テスト基板インピーダンス測定
通信系ではRFと言われる高周波を扱います。高周波を基板上で効率よく伝送するためには特性インピーダンスというパラメータを調整する必要があります。
このパラメータ調整は少し難しいので実験基板を作って調整することにしました。
上の写真は完成した実験基板を使って特性インピーダンスを測定している様子です。
左は基板、右の黒い機器は波形が表示された測定器です。
4. アンテナ実験準備
アンテナを構成する部品(バラン、アンテナエレメント)が手元に届いたのでテスト基板にはんだ付けしてアンテナの特性を測定するための準備を行いました。
5. 国際周波数調整用資料作成
人工衛星は衛星と地上間で通信を行うときには電波を使います。
電波は限りある資源であるため好き勝手に使うことはできません。
特に人工衛星は日本だけでなく世界の上空を飛び回るため、予め自分が使いたい周波数を使って問題ないか?を各国と調整しておく必要があります。
調整自体は自分たちでは行いませんが、調整を行ってもらうための資料を作る必要があります。
RSP-03ではプロジェクトマネジメントチームでこちらの資料作成を行っています。
本日はこちらの資料についての打ち合わせも行われました。
来週も引き続き放射線試験の準備を行っていく予定です。
2022年10月10日(祝)
日記当番:M
天気:晴れ
活動人数:9人
お昼ごはん:中華
おやつ:ドーナツ、ちんすこう
今日は久しぶりにたくさんの人が集って作業をしていました。
バス系開発メンバーは前日に引き続き放射線試験準備 を進めました。
放射線試験に供する基板やTest programの開発を行っていました。
ミッション系メンバーはRaspberry piでスタートラッカーを動作させるための環境構築を行いました。
工場作業も、毎回顔を出しているメンバーもいれば時々参加するメンバーもいるというような具合ですが、この日は新規メンバーが多かったので、開発に熟練したメンバーからプログラミングや工場設備のレクチャーも行いました。
9月から試験準備進めていますが、進捗状況はちょうど5合目くらいというところでしょうか。
引き続き頑張って開発進めていきたいと思います。
10月16日(日)
日記当番:吉田
天気:曇りときどき晴れ
活動人数:5人
お昼ごはん:中華
おやつ:カカオ70%チョコレート
こんにちは!本日も有志で集まり工場作業でした。
前日はシステム要求レビュー会に終日費やしたにも関わらず、5人ものメンバーが現地参加してくれました!
■本日のお品書き
1. 放射線試験準備
2. アンテナ特性の測定
1. 放射線試験準備
試験対象の電源系基板を調整中です。前週の作業で部品のはんだ付けが完了し、下図右下のとおり基板らしい仕上がりになりました。
今回は搭載部品の電圧や特性を測定し、想定通りに仕上がっているかを確認しました。
基板の稼働までもう少しです!
2. アンテナ特性の測定
工場屋外にて、アンテナの受信感度を測定しました。
RSP-03では、4本のアンテナを筐体底部に格納しておき、四方に展開する構成になっています。
本測定では、下図のようにアンテナが展開した状態を模しておき、基板から測定器に向けてアンテナの受信電波が到達するように組み上げ、アンテナの受信感度がどの程度出るかを測定しました。
青空の下に佇む地上局アンテナ(写真右)を見上げるアンテナ試験体(写真中央)。
03と地上局はまだお互い近くにいますが、数年後に03は遥か遠くへ飛び立ち、03は真っ暗な宇宙から地上局に向かって(電波で) 呼びかけてくることでしょう…!
2022年10月30日(日)
日記当番:おすぎ
天気:晴れ
活動人数:5人
お昼ごはん:中華
おやつ:ガトーレーズン、TOPPO
本日はリーマンサットプロジェクトの月一の全体定例会日でした。定例会に耳を傾けつつ、今日も開発を行いました。
また、本日はRSP-02チームメンバーも工場に来ており、意見交換も行いながら有意義な時間となりました。
■本日のお品書き
1. 放射線試験準備
1. 放射線試験準備
先週に引き続き放射線試験の準備を行いました。
今日は放射線試験で使用する通信系BBM基板と電源系BBM基板を動作させるためのソフトウェアの開発と動作確認を行いました。
通信系BBM基板は初めて電波が出力できることを確認しました(※送信時はダミーロード使用)。
電源系BBM基板はソフトウェアの完成まではたどり着かなかったので続きは次週に持ち越しです。
電源系BBM基板ソフトウェアデバッグ中
通信系BBM基板のソフトウェア設定を確認して・・・
無事に電波が送信されていることを確認しました 。
来月はいよいよ引き続き放射線試験!
次回の工場活動日記もお楽しみに!
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
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開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
【この記事を書いたメンバー】
技術部 RSP-03 C系 吉田R
スキーと宇宙開発が好きなソフトウェアエンジニア。東京在住。
【この記事を書いたメンバー】
技術部 RSP-03 C系 / 電源系 / 通信系 / 地上局系 おすぎ
電子工作と飛行機とカメラが好きなハードウェアエンジニア。東京在住。
【この記事を書いたメンバー】
技術部 RSP-03 C系 / 電源系 M
旅とお酒が好きなエンジニア。東京在住、心は関西人