こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!
先月の進捗報告はこちら→(ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2023年11月)
2023年12月のハモるんと03メンバー
・JARD(一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会)の測定器室の開放サービスを利用して、審査に必要な項目の測定を行ってきました!
・メリークリスマス!でも関係なく衛星開発していました。12/24がメンバーが集まっての2023年内最終開発だったため、開発終了後に大掃除を行いもんじゃで〆ました。
それでは、12月の各系進捗です。
M(ミッション)系
・引き続き、各コマンドをテスト中。基本コマンド(撮影→赤経赤緯計算→曲生成→ダウンロード/デジトーカ)の一気通貫の正常処理は年末年始中にめどをつけたい。
・ESTIMATEコマンド 、デジトーカコマンド動作確認中。
・RADEC_INFO_LIST実装着手。
・プログラムチェンジメッセージを変えてmidiファイルを作成するサンプルグラムを実装。
・ネットワーク周り改修: テストベンチにてECHOコマンドの受信と送信に成功。安全なマージのためのプルリク作成完了。
・デジトーカーテスト中。ストップ出来ないことが分かったので検討中。
・作曲プロセスなどの別プロセス系の処理結果をHK_FULLでかえせるようにする。COMPOSEは完了。他は様子を見て対応。
・SET_CAM_CONFIG, GET_CAM_CONFIGは01ベースで対応中。
・RUN_SHELL実装済み。テスト方法を聞いて、テストを進める。
・ESTIMATEコマンド,TAKE_PHOTOコマンドの改修中。
・DOWNLOADコマンド実装&テスト中。
・ハモるん作曲のもとになる「モチーフ」のリーマンサットメンバーからの収集を開始。
★ここで作曲について簡単に説明★
「モチーフ」とは、2~4小節程度のメロディで、AIで作曲を行う際の重要なパラメータの一つ。
RSP-03では一回のコマンドで3曲生成しmidiで出力される。あらかじめ衛星に搭載されている他のパートと自動的に合成し、全曲ダウンリンクする。データサイズは3曲まとめて100kb程。
・magentaを実演、成功とNG曲をメンバーにお披露目。
上の画像は、magentaで作成した曲のmidiリスト。
はもるんが作曲したメロディラインをmidi対応の楽譜ソフトMuseScore で開いたところ。
衛星にあらかじめ搭載されているmidiには他のパートや、楽器の種類などが指定されており、衛星が作曲したメロディラインと合成をすることで曲が完成する。
・”作曲の成功”については主観による。magentaがわかるコード進行とそうでないものがあり、3曲中2曲くらいは音程が外れている。1曲は聴けるかなくらいの確率で作曲できてる。
・モチーフの音名(ドレミ)はあらかじめ決められている選択肢の中から、HouseKeepingDataにより決定される。
・メロディがある音楽を作ることをミッション系としては重視している
・AIは学習済みデータをもとに「続き」を作ることはできるが曲の終わりが理解できない。
そのため楽器の指定とともに曲の終わりの終止形はあらかじめデータ(midi)として搭載しておく。
・星座ごとにコード進行、モチーフのパターン、合成するmidiなどを用意している。
C&DH(コマンド&データハンドリング)系
・新TC(通信・C&DH系)基板立ち上げ。COBCファームウェアが起動することを確認。クロックの設定修正が必要だった。起動してからの処理を2023年内に作業予定。
・テストベンチ(衛星を模したもの)でAOBC(姿勢制御用マイコン)-MOBC(ミッション用マイコン)間でのコマンド疎通成功を確認。AOBC側の出力が暴走する問題があり継続調査が必要。疎通成功の確認方法はエコー(送ったものをそのまま返す)。
T(通信)系
・周波数申請:海外からの書簡1件追加あり。RSP-03のサービスエリアに領土が含まれることにコメントがきている。回答調整中。打ち上げができない、周波数が使用できないというわけではない。
・基板改版 :入着、導通絶縁検査、OBC動作確認済み、スケジュールにインパクトのある問題はなし。開発スペースでRF系確認。JARDにて開発スペースで行えない測定を行ったところ、2点問題が確認された。
①Morse送信時にスプリアス規格値を満足できない
→工場で試した範囲では改善できず、上手い対処方法が確立できない場合、最終解決策としては送信出力を10dB下げる方向で検討
②FM送信時に48kHzにスペクトルピークがありスプリアス規格値を満足できない
→DACのサンプリング周波数であり48kHz→96kHzに変更することで解消する目処が立った
・1月にJARDで本測定を実施する予定。
JARDでの測定の様子。
P(電源)系
・バッテリ組み立てについて。バッテリを2直列化するために必要となるスポット溶接をFM品バッテリと同じ型番のバッテリでテストした。もう少しスポット溶接の条件出しを行いたいので、実際の作業は年明けとなる。
・EL試験を実施し、太陽電池1枚分にやや若干の特異点が確認されましたが、機能損失には繋がらないのでおそらく問題なし。
黄色の部分が特異点
セルと保護ガラスの間に異物混入か?
A(姿勢制御)系
・ソフトウェアは2023年内に終わらせたい。ハードウェアはうまくいけば2023年内にといった状況。
・姿勢制御用コマンドについて。RWを用いた姿勢安定 Stabilizeはリファクタリング中、磁気トルカの姿勢安定 Unloadは8割ほど作成。両方とも2023年内に終わらせて動作試験にすすみたい
・リアクションホイールの試験用治具の作成。磁石が入ってて、摩擦を減らす仕組みになっている。
H(熱・構造)系
・A(姿勢制御)系に渡すデータについて確認を行った。
・振動試験準備始動しました。
・振動試験用のジグの簡易フィットチェックを行った。治具自体は問題なさそう、要調整。
・組み立てに必要なネジの本数、種類をアッセンブリプロシージャに基づきチェックし、仕切りボックスに分類した。
G(地上局)系
運用システム開発:画面実装が8,9割完了した。DB実装で使うライブラリの変更作業を進めている。
無線送受信機能開発:運用中に保存する音声や受信信号のファイル容量について話し合った。
D(デザイン)系
・ハモるんのビジュアルを絶賛作成中。リアルにハモに寄せると可愛くなくなるけれども、可愛くしすぎるとハモに見えない、のバランスに苦戦していましたが、デザイン担当2名が素晴らしいゆるキャラを生み出し中。年内最終確認で、新年早いうちにお披露目予定。
・Stellar Symphonyキービジュアルをもとに、トートバックのデザインを作成中。
Stellar Symphonyキービジュアル
X(外部公開)系
・開発のマスタースケジュールを見ながら、2024年の計画をたてはじめた。なんのかんのいって開発現地取材ができるのはゴールデンウィークあたりまでになるかと思うので、早めに取材計画を立て実行する。
・開発の全体像が分かるようなドキュメントも作りたい
・時期に見合った効果的なweb記事を出す、またファーストパスのときはlive配信してみたい
F(ファンディング)系
・イベント等で使用するため、寄付ページへのQRコードを印刷したアートカードを追加発注。
・クリスマスミニイベントでアクリルキーホルダーと特製クリアファイルを少し販売。
ハモるんとは
ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。
”系”とは
リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。
以上、2023年12月の開発進捗でした。
来月のハモるん開発記もお楽しみに!
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【この記事を書いたメンバー】
広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉