こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!

先月の進捗報告はこちら→(リンク:ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2023年12月

2024年1月のハモるんと03メンバー

2024年度はRSP-03”ハモるん”打ち上げイヤー!
リーマンサット広報の人と開発メンバーとみんなで力を合わせて宇宙へ行って、地球のみなさんに音楽を届けます!

・安全審査で必要な検証結果を集めるための各種評価・試験の実施タイミングを明確化しマスタースケジュールに反映。振動試験前に作成できるものは前倒しで実施予定。
・開発スペース(通称:工場)は日曜日のみ借りることができるが、日曜だけでは開発が間に合わないため、急遽土日両方使用できる開発スペースⅡを借り、二拠点で開発を始めた。

それでは、1月の各系進捗です。

M(ミッション)系

・時刻管理については、SYNCコマンドで衛星時間を地上時間に同期させる。
・結合テストについて、誰がいつ動かしてもテストが通るようにする。
・先月から引き続き、コマンドテスト中。
・作曲データのダウンロード(GET_MUSICDATA)ができるようになった。一部エラー修正中。画像のダウンロード(GET_PIC_DATA)はGET_MUSICDATAが終了次第実装着手。赤経赤緯計算(ESTIMATE)は要修正。
・2月初旬のイベント「YOXOフェスティバル」で、作曲とSSTVの実演予定(PCとRaspberry Pi どちらもで行う)
イベント内容→「横浜で行われるYOXOフェスティバルに出展します!
・SSTVで配信する画像をどのように準備するか検討着手(配信画像を予め用意しておくor撮影画像を配信できるようにする)。できれば撮影画像を配信できるようにしたい。がラズパイ上で変換処理すると、現状の変換プログラムだと変換に5、6分かかってしまうので、やるやらないの可否や処理を高速化するか等、要検討。予め用意した画像を事前に音声ファイルに変換しておき、配信することは可能。ただし画像サイズは640x496pix、jpgファイル。

C&DH(コマンド&データハンドリング)系

FM基板: C&DH部の動作確認が完了。2枚については問題無し。1枚についてはマイコンの動作に必要なクロックが正常動作せず、付随するコンデンサの容量の変更が必要なことが判明。変更後は正常動作が確認された。同様の現象は同基板に搭載のTOBC(通信用マイコン)についても発生する可能性があり、追加確認中。
ソフトウェア: 衛星の宇宙空間放出後の一定時間待機からアンテナ展開までの実装が完了。2月に実機でテストする
・AOBC(姿勢制御用マイコン) – MOBC(ミッション用マイコン)間通信は安定度向上。MOBC→AOBCがすこし不安定だが他未実装要素の着手を優先していく。
・2月はアンテナ展開後の処理、テレメトリ実装予定。

T(通信)系

・JARDで測定予定があったが、メンバーの体調不良により延期。2月初旬に実施予定。
・予備免許が無事に発行されたらしい。ただ、郵送されてくると思っていたら受け取りに行く必要があるようで2月初旬に受領予定。

ここで豆知識:
予備免許の交付を受けた後に衛星の落成検査にパスすると、宇宙から試験電波を発射する事が認められる

・落成検査は2月末を予定、関東総合通信局と調整中。
・周波数申請:海外からの書簡追加あり。
・基板改版 :12月のJARDでの試験で見つかった問題は全て修正。
・Morse送信時にスプリアス規格値を満足できない→レジスタ設定の調整でなんとかなる目処が立った
・FM送信時に48kHzにスペクトルピークがありスプリアス規格値を満足できない→48kHz→96kHzに変更+AGC追加作業中は全て修正。

P(電源)系

・太陽電池パネルの動作を確認。ハロゲンランプを当てて各面1Wくらい出力されることが確認できた。
・テストベンチ(地上試験用の衛星モデル)を使ってシステムに組み込んでの動作を確認。
・テストベンチを使って太陽電池の動作を確認行った。衛星放出時にバッテリが枯渇した(バッテリが空/バッテリが壊れていた等)ワーストケースを想定し、バッテリなしで太陽電池でメインバスが起動できるかを確認、問題なし。
・バッテリ組み立てについては、スポット溶接のパラメータが決まった。2月作業時にFM*品でスポット溶接予定。
・4月以降に長期運用試験を始める予定。運用の計画に役に立てたい
・FM組み立てまでにハードウェア的に確認必要な内容を実施予定。
*FM:フライトモデル、実際に宇宙へ放出されるモデル、Flight Model

A(姿勢制御)系

・単体試験の計画書を作成中。
・ハードウェアは単体試験に向けて準備中。試験治具のデバッグシリアル信号が取れなくなる症状の不具合解析中
・ソフトウェアは磁気トルカの制御系の設計中

H(熱・構造)系

・アッセンブリプロシージャー組立手順書の確認、外観チェック、今後のスケジュール確認を行った。
・振動試験準備開始。振動試験治具にRSP-03が入るかどうかを、03モックアップ(鏡餅的にミカンが載っているもの)およびRSP-01PFM(プレフライトモデル)、そしてRSP-03FM(筐体のみ組立したもの)でそれぞれ確認し、問題なかった。

・振動試験手順の確認。PMと振動試験実施メンバーと共に手順を確認。これから持ち物、手順の再確認、試験場への連絡、安全審査phase3の資料作りの確認を進めていく。
・FMを仮組してみた。ネジ穴等は問題なし、細かい部品が多い。

G(地上局)系

運用システム開発:
・M(ミッション)系との試験に向け、地上局コマンドの量産とM(ミッション)系機能の実装を優先して進める。
・受信したデータはCCSDSプロトコルのため、デコード部分の実装も優先項目であることを確認した。
・M(ミッション)系-G(地上局)系の結合試験について、データのやり取り方法や試験の方法などを検討した。

無線送受信機能開発:OQPSKの復調方法について検討した。T(通信)系で復調した内容をG(地上局)系で確認中。

D(デザイン)系

・デッサン担当者とイラストレーター担当者間で”ハモるん”イメージを最終調整。1月末のミーティングで最終調整。
・お年賀ハモるんを公開。

X(外部公開)系

・2月初旬のYOXO(ヨクゾフェスティバル)の03から出展するコンテンツを作成。RSP-03のミッションの中の二つ
・SSTV受信実演
・magenta(マゼンタ)による作曲実演
を予定。
・2024年の目標を立てる。「開発記事、音楽ネタ記事、イベントネタ等色々出して、打ち上げ、運用を盛り上げる!」

F(ファンディング)系

・好評につき、RSP-03アートカードを増刷。

・某ECサイトについて検討、調査を開始。

上記、「系」以外にRSP-03専用情報サイト作成チームも2023年中に発足しました。1月以降はこちらの進捗も記載していきます。

RSP-03特設サイト(新)

https://rsp03.rymansat.com/
・リーマンサットのホームページとは別に、RSP-03専用の特設サイトを作成。コンテンツ作成、デザイン作成、設計、実装中。
・サイト内で音楽データを公開する時の知的財産権の扱いを明確にするため、リーマンサット内の知財法務部に調査依頼開始。

こちらはトップページのデザイン(作成途中)。

・ちなみにWeb開発に興味のある方(言語:HTML、CSS、Next.js、node.js)募集中。

エレキ系(新)

エレキ系は、既存10系に収まらない、各系を横断する系です。
・テストベンチ2つ目を作成し、ほぼ完了。片方は開発スペースに置いておき、片方は持ち帰り等できるようにするため。

・アンテナ展開機構まわりのハーネスを検討し、ほぼFIX。アンテナ展開を確認する機構を作成予定。実際に宇宙へ送りだすときにはハーネスは作り直す予定。
・同軸ケーブルにアンテナエレメントをつけてみた。同軸ケーブルをつけてもアンテナがちゃんと展開できることを確認。バネ(リーマンサットメンバー自作)はバッチリ動作!

ハモるんとは

ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。

”系”とは

リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。

以上、2024年1月の開発進捗でした。
来月のハモるん開発記もお楽しみに!

✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
https://www.rymansat.com/join
開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。


【この記事を書いたメンバー】

広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉


他にこんな記事も読まれています
ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2023年10月 こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。 「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開...
ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2023年9月 ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。 サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体! この小さな衛星が行うミッションのコンセプト...
ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2023年12月 こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。 「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開...