こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!
先月の進捗報告はこちら→ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年2月
2024年3月のハモるんと03メンバー
※3月の進捗報告はかなりボリュームがありますので頑張って読んでください※
・FM*組み立て開始。
スケジュールはこちら。
3/16(土):電気的動作確認
3/17(日):本組1日目
3/20(水祝):本組2日目
3/23(土):本組3日目
3/24(日):本組4日目(予定外)
3/30(土):本組5日目(予定外)
3/31(日):本組6日目(予定外)
ハードウェア開発佳境の様子。
・ハモるんの体重も確認!
・仮組状態の筐体で、JAXAの小型衛星放出機構(J-SSOD)用のフィットチェックケースでプレフィットチェックを行った。
・ISS放出後30分間アンテナ展開&電波放射が行われないことを確認した。
放出後の動作と同じように、電源が入って30分後にアンテナを展開しHKビーコンが送信されることを確認。
・SAP用ハーネスの引き回し作成、ハーネス類の固縛・固着、アンテナ最終束縛前の展開試験、本組み前最終RF放射確認、アンテナ最終束縛、+X面へのカメラ取付等の本組み前残作業を完了させた。
・が、本組み開始後、思わぬ事態が起こり作業が中断された。詳しくはH(構造系)の項目で!
*FM:フライトモデル、実際に宇宙へ放出されるモデル、Flight Model。
それでは、3月の各系進捗です。
M(ミッション)系
・宇宙ポストのお願いごと、51689通をRSP-03FM筐体に格納!
詳しくは→「超小型衛星RSP-03に宇宙ポストを格納しました(ハモるん開発記)」
・デジトーカ音声をメンバーから募集、FM用SDカードに格納。
・SSTV画像(20ファイル)をすべて音声に変換して、FM用SDカードに格納。
・テストベンチでFM用SDカードを使ってCOBC(コマンド系OBC)→SPI経由→MOBC(ミッション系OBC)でコマンド疎通するか確認(3/9)ECHOは通った
・ラズパイに接続して正しく画像が撮影できることを確認
・デジトーカ、SSTV(M系からI2Sで信号を出す)を確認
・地上からMOBC(ミッション系OBC)へECHOコマンドを送信
C&DH(コマンド&データハンドリング)系
・バッテリーの充放電を電源基板経由で適切に制御するために必要なソフトウェアの機能であるバッテリーコントローラを実装した。
・アンテナ展開後の処理についてテレメトリ実装を行い、アンテナ展開後にモールスが自動送信できるようになった
・そのほか、モールス出力機能、OBCの情報集約機能、衛星のHK_FULL(衛星の健康状態の詳細情報)出力機能の実装を行った。
T(通信)系
・FM組立後動作確認実施(FMでの最後のRF通信)、インテグレーションに問題ないことを確認。
・CCSDSプロトコルでの送受信に成功した。
・周波数申請関係は本免許(打ち上げ後)に向けた国際周波数調整作業を継続中。軌道上で電波を出すのに必要な手続きは全て完了。
・FMにおけるT(通信)系のハードウェアタスクは全て完了。残タスクはソフトウェア実装。
T(通信)系メンバーの打ち合わせ姿
P(電源)系
・FMバッテリの配線を行った。また、組み立て後に2直列のセルバランスを取るために補充電も実施した。
・組み立て前電気性能試験実施、問題なし。
・太陽電池パネル用のハーネスが完成したので、本組前に動作確認し、問題ないことを確認した。これにてP系でのFM作業は完了。
・テストベンチで長期運用を実施予定。
A(姿勢制御)系
・コマンドでのリアクションホイール動作の挙動が予定したものではない(センサの値を使って減速できていない)問題を調査。ソフトウェア側での必要な処理が足りていないことが判明したので再試験。再試験で停止する方向に制御して、回転が収まるとリアクションホイールを停止するようになったが、試験環境だとなぜかログが出ていないので調査。
・試験ソフトの確認状況を共有。タイムアウトでRWは停止するがデバック出力が想定と異なっている
・FM組立時、Y軸磁気トルカを駆動すると過電流によりシステムが再起動する現象が発生。調査により、リアクションホイール固定用のボルトがY軸磁気トルカに接触していたことが原因と判明。リアクションホイール固定用ボルトは正規品に取り換え、接触対策は完了。ただし、Y軸磁気トルカの巻き線に損傷が見られたため、Y軸磁気トルカはまき直した。
H(熱・構造)系
・FM組み立て開始。
・3月24日(日)本組4日目の夜、ネジトラブル発生。 +X面のLowerFrameのM2のネジ穴がバカになっていることが発覚。作業をいったん中断、ほかの外装ネジ健全性を確認、問題なし。
「ネジ締めていったら空回りした時、年一くらいの恐怖を感じました(担当者談)
・3月25日(月)にオンラインで対策会議を行い、いくつかの案から「M2のネジ穴へヘリサート(ねじインサート)を入れる」ことに決定。
・3月30日(日) 13:00作業開始。ヘリサートを挿入する工事を行い、M2x1dのヘリサートが無事入った(ヘリサート挿入前の肉厚はぎりぎりだった)。
・ヘリサート(ねじインサート)挿入時には固着待ち時間はないので、挿入後すぐに本組作業を再開した。
・ヘリサート(ねじインサート)復旧後はサイドレールを本締め、+X面をつける、太陽電池基板(-X,+Y,-Y,+Z)を本締め、-Z面のSAP基板を本組みして組み立てが完了。
組み立て完成後に最終日にネジ締めしたメンバーで記念撮影。
G(地上局)系
・4FSKとOQPSKは通信速度が早い利点があるが、現在復調機能のSDR実装に手間取っている。また、SDR受信するためには通常の無線機接続から経路変更が必要なため、通信速度に対する必要性と、無線機やSDRで受信する場合の経路について話し合った。
・運用システムにて、画像を落としてくるコマンドを実装中。作曲データなども落とせるように実装を進めている。(写真2つ)
・衛星にテレメトリ取得のコマンドを打ち、返り値を表示する機能を実装した。(下の写真)
D(デザイン)系
・ハモるんver.のSSTV用画像を作成。
デザイナーコメント:
このSSTVは、急に異色でほのぼのな雰囲気が、人の目にとまるかなと思いました。宇宙は今や世界では戦場にもなりうる場所で、そういうのと一旦離れた場所から何か届けばいいなと思いました。例えば被災地や戦地などで聴いた人が一瞬でも笑顔になればいいな。
・ハモるんパーカーに引き続き、ハモるんTシャツのデザインも行った。
・クラウドファンディングトップ画像、 衛星の分解図バックプリントVer.Tシャツ、ハモるんVer.トートバック、クラウドファンディング特化型フライヤーのデザインを企画。
X(外部公開)系
・ハモるん搭載物(デジトーカ用音声、SSTV用画像)について、M(ミッション)系に渡すコンテンツを作成。
デジトーカについてはメンバーなどから音声を収集。
SSTVについては搭載画像候補を選定、pd120用は640×496 pix、robot36用は320×248 pix で作成。その後コールサインを追加するためD(デザイン)系に加工を依頼。
最終的に
デジトーカ用:18人の音声
SSTV用画像:20枚
を搭載した。
SSTVはうまくいくとこんな感じになる予定。
・リーマンサットメンバー向けにFM完成お披露目会を企画開始。
F(ファンディング)系
・ECサイト(SUZURI)仮オープン。https://suzuri.jp/rymansat/
ハモるんゆるパーカーを期間限定販売した。
上記、「系」以外にRSP-03専用情報サイト作成チームも2023年中に発足しました。1月以降はこちらの進捗も記載していきます。
RSP-03特設サイト
https://rsp03.rymansat.com/
・デザイン・コンセプト・実装をそれぞれ進めています。
・背景を動く星空に更新。今後はTOPページで再生する音の多さに合わせて星の増減しようと考えている。
・言語切り替えをデザイン準拠のボタンに実装。
・OGP設定(SNSにURLを貼ると簡易的な説明が出る設定)を更新。
・ハンバーガーメニューバーのSNSリンクをアイコン化。
・追跡ページを作成。
エレキ系
エレキ系は、既存10系に収まらない、各系を横断する系です。
・衛星のコーティングを行った。コーティングは安全審査向け二重絶縁(電源系基板)、防塵・防湿、半田ボール浮遊防止のために行った。
詳しくはこちら→「衛星に搭載する回路基板に欠かせない処理…RSP-03の「コーティング」作業を体験しました!」
というわけで、なんとか3月中にRSP-03FM筐体の組立が完成しました!
筐体完成RSP-03と記念写真。ここからはソフトウェア開発が最終段階に入ります。
ハモるんとは
ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。
”系”とは
リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。
以上、2024年3月の開発進捗でした。
来月のハモるん開発記もお楽しみに!
【無料講演会】超小型人工衛星RSP-03開発ウラ話14連発
2025年に打ち上げを控えた超小型人工衛星『RSP-03』の技術解説および開発の裏話を14回にわたり無料講演します!
11/2〜1/18の間の土曜日、各回講演60分×2コマ(全14回・7日間)を宇宙の店@浜松町で行います!ぜひご参加ください!
『趣味で衛星開発!~打ち上げ間近のRSP-03開発ウラ話 14連発🧨』
https://rsp03-techtalk.peatix.com
ぜひ会場に足をお運びください!
2024年11月以降のイベントのお知らせ
★2024年11月5日(火)16:30-17:15
第68回 宇宙科学技術連合講演会でRSP-03開発メンバーが登壇します!
(姫路市文化コンベンションセンターアクリエ ひめじ@姫路市)
N会場小型衛星(3)
1N16:超小型人工衛星RSP-03の開発状況とミッション系システム
1N17:超小型衛星向けUHF帯通信機の開発
2本発表します!
★2024年11月9日(土)〜10(日)
第7回「すみだストリートジャズフェスティバルinひきふね」(情報経営イノベーション専門職大学@墨田区)
★2024年11月15日(金)〜16日(土)
第26回産業ときめきフェア in EDOGAWA(タワーホール船堀@船堀駅前)
★2024年11月24日(日)
星マルシェ2024(三鷹中央通り商店街@三鷹市)
こちらのイベントでも皆様とお会いできるのを楽しみにしています!
手のひらサイズの衛星が、宇宙の神秘を歌い上げる!クラウドファンディング始まります
音楽作曲演奏衛星RSP-03の開発は紆余曲折を経ながら進み、現在フライトモデルの開発が完了しています。
フライトモデルの開発が完了しているならば、残りやることは一つしかありませんね?
そう、RSP-03を宇宙に送り届けるのです。
手のひらサイズの衛星が、宇宙の神秘を歌い上げる!– クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
https://readyfor.jp/projects/rymansat6
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
https://www.rymansat.com/join
開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
【この記事を書いたメンバー】
広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉