正直に言う。マズい、というかどうしよう、と思った。
参加者は5名くらい、テーブルを囲んであーだこーだと話をする、そんなものを予想していた。
しかし、現実はぼくらの想像を大きく上回ってくれた。
2015年1月末土曜日、東京は茅場町のco−ワーキングスペース「co-Edo」さんにて、「リーマンサットプロジェクト(仮) KICK OFF MEETING」が開催されてしまった。
集まったのは、ぼくらコアメンバー5人を含め、25名弱。実に想定の4倍ほどの方に参加して頂いた。参加者をざっとカテゴリー分けすると、学生さんが三分の一、すでに宇宙に何らかの関わりがある方三分の一、残り三分の一が今宇宙に関わることはしていないけれどずっと宇宙に憧れを持っていた方、といったところ。
詳細を聞いていくと、プロダクトデザインをしている方、ハードウェアの製造ができる方、すでに宇宙開発に関わりのある方(宇宙に関する仕事をガチでやっている、という方も!!??)などなど、「今いる人たちで衛星作って打ち上げられるんじゃね?」と期待してしまうほどの逸材ぞろい。このような面々に多数来て頂いてぼくらとしては全く恐縮の限りである。まだ何も決まってないのに、これだけ人を集めてしまっていいのか、と。何せ、始まる直前まで本ミーティングの進行について打ち合わせをしていたくらいである。長テーブルに座ってずらりと並ぶ参加者の方々を前に「セミナーじゃないですからね」と思わず口走ってしまったのは、実は焦りの裏返しだったりもする。
まずはコアメンバーの自己紹介とミッションの概要などなどを説明し、(やっぱりこいつら助けてやらなきゃダメだ、思って頂くなど)いい具合に場が出来上ってきたところで、宇宙に憧れる気持ち、プロジェクトに参加する動機、参加者がどういう思いを持ってきてくれているのか、「なぜリーマンサット、そもそも宇宙開発に関わろうと思ったのか」をテーマにディスカッションをしてみた。
やはりというか、本プロジェクトは宇宙開発に関わると言うことで、
- 宇宙に行きたい! 宇宙から地球を見たい!
- 宇宙が舞台の漫画や映画、小説にドハマりしてここまで来てしまった
- 宇宙の深淵に惹かれて止まない
- 宇宙に関わるのが普通、関わっていないと落ち着かない
などなど、宇宙に大きな憧れを抱く方々が多いようだった。
ぼく自身は、高校生くらいまでは宇宙に憧れや関心を持っていたけれど、今現在はその思いはすっかり薄れ「宇宙にどうしても関わりたい!!!!」というほど強い気持ちを持っているわけではない。どうしても、「宇宙」というとまだまだ遠い場所のイメージがあるのだ。それはたぶん、一般社会から見た印象でもあると思う。しかし、そのイメージは今宇宙に関わり、宇宙への憧れを持ち続けている人も同様らしい。「学生時代に宇宙について関わっていたが、社会人になったら全く関係なくなった」「宇宙への憧れはあるものの、実際に関わる術がない」といった、宇宙との関連性の薄さを感じている人が多い。実際に宇宙に関わっている人も「一般の人にもっと宇宙を身近に感じてほしい」「宇宙を特別なところだと思ってほしくない」など、もっと宇宙と繋がりたい、宇宙への関わりをもっと社会に広げたいという思いは、「宇宙に関わる人」にとっての共通意識のようだ。
しかし、それはリーマンサットには追い風だ。宇宙と社会の距離を少しでも縮めることがプロジェクトテーマの一つなのだ。そのためにぼくらは今、どんな衛星を打ち上げるのか、という「ミッション」部分について頭を悩ませている。ミーティングではその例として、ぼくらコアメンバーが考えている「リーマンサットのミッション例(案)」を紹介した(詳しくはこちら)。
「ふざけてんのか、もしくはアホか」という思いをもたれる方がいたかもしれない。しかしぼくらは大真面目にこのような衛星を打ち上げようと考えている。「世間様のお役に立つご大層なもの」を打ち上げるつもりは毛頭ない。それよりも「なんだかよくわからないけれど楽しいかも」と思ってもらえるような「パッと聞きバカげてさえいる」衛星を打ち上げたいのだ。前にもブログに書いたけれど、ぼくらが打ち上げる衛星は、たくさんの人に理解してもらえるよう、そしてこの段階から多くの人に参画してもらえるように、できる限りシンプルでわかりやすく、インパクトがあるもの(なのでバカさを求めているように見える、あくまで見えるだけ)にしたいと思っている。そのためにはぼくらコアメンバー5人だけで話し合うよりも、広く意見を募ることを考えている。その目論見はばっちり当たったようだった。
- UFOキャッチャーみたいにデブリ(宇宙ゴミ)を回収する衛星
- ギャンブル大好きな人をターゲットに、競馬ならぬ競SAT
- 人工流れ星(ミーティングの後に分かったことだが、この案については実用化に向けて動いている人がいる)
- スヌーピーを宇宙に行かせたい
- 衛星を二つ打ち上げて、握手させる、それを動画に収める
- 全方位カメラを搭載して宇宙空間を丸ごと撮影し、実写プラネタリウムみたいなのをつくる
- 宇宙から宝くじの当選番号を配信する衛星
- 世話をしないと落ちちゃう衛星(みんなで助けさせる)
三人集まれば何とやらといったところだが、今回来て頂いた方から沢山の意見を頂戴した。アイデアはあればあるほどいい。何も決まっていないリーマンサットだが、今回のディスカッション(というかブレインストーミング)を元に良いミッションができそうである。
当初は不安満載で始まったKICK OFF MEETINGだが、宇宙への熱い思いが飛び交い、想像以上に盛り上がるなど、出だしとしてはとてもいい会だった。何よりこのミーティングの一番の目的、リーマンサットプロジェクトがいかに何も決まっていないかを参加者の方々へ知らしめ、「助けてやんなきゃダメじゃん」と思って頂くことについては充分達成されたはずである。