技術広報モエです。
今回の「文系女子が人工衛星開発を追いかけてみた」は、
先日宇宙に行ったRSP-00のフライトモデル(宇宙に行った実機)完成直後の、RSP-00チームの話です。
連日の徹夜の開発の話は漏れ聞こえたものの、そのとき何が起こっていたか
もっと詳しく知りたくて、お話を聞いてきました。
(取材時期はフライトモデル完成直後の7月です)
たくさんの人が開発に関わりました。
もちろん全員集まることは難しく、開発チームのほんの一部の方、
プロジェクトマネジメント(以後PM)系加藤さん
同 嶋村さん、
ミッション系 石川さん
姿勢制御系 O村さん
熱構造系 武部さん
に今回はお集まりいただきました。
●今回、**系という表現がたくさん出てきます。
「系」とは、人工衛星の機能ごとのまとまりを指す言葉で、リーマンサットでは技術部の各機能の開発チームを「姿勢制御系」「C&DH系」といった言葉で表現しています。詳しくはこちらをどうぞ。
--所属する系と、フライトモデル完成直前、何を担当していたかを簡単に教えてください。
熱構造系武部さん:搭載機器の組み付け準備、FMの組み立て、振動試験および表面粗さ測定を担当しました。
姿勢制御系O村さん:永久磁石の貼り付けと基板の組込み手伝いをしました。
PM系加藤さん:週明けの安全審査に間に合わせるための必要なすべてのテストを担当しました。土曜の22時まで待ったのですが終わらず、帰ったら次の日間に合わないので徹夜をしました・・・。
ミッション系石川さん:画像送信の部分が完成していなかったので金曜から黙々と作って、ある程度土曜にできるところまで作って受け渡して帰りました。
アンテナ部分作成中の通信系のTNさん。
アンテナのついている面。
--何をしていたかを、もう少し詳しく教えて下さい。
熱構造系武部さん:ディプロイメントスイッチとハーネスの組付け、また衛星の組立の前に、仮で組み立て、そして本番の衛星の組み立てをしました。そのあと山梨の産業技術センターに向かい振動試験および表面粗さ測定をしました。
姿勢制御系O村さん:アンテナからの配線が台座に干渉していたので、台座を削り、 干渉対策をしていました。
PM系加藤さん:振動試験が終わったら全然触れなくなってしまうので、その前にソフト・ハードを作りこんでいなければいけなかった。ということは安全審査を通すために必要なテストは週明けまでにしなければいけなかった、そのテストをPMチームで担当しました。フライトモデルで、スイッチがちゃんと動くか、電源を入れてから30分後にアンテナ展開できるかどうかとか、30分電波が出ないとか、安全審査に通るためのテストをしていました。
落成検査用の 検査機。
--フライトモデル完成直前、修羅場だったと聞きました。苦労したところを教えてください。
熱構造系武部さん:全体的な容積が大きくなり筐体に組み込むのに苦労しました。また組み込んでから、機能が動かなくなってしまって、もう一度開ける必要が出て、更に苦労しました。
姿勢制御系O村さん:睡魔との闘い・・・・・。
PM系加藤さん:スケジュール通りにいっていなかった。予定よりずれこんでいた。
姿勢制御系O村さん:把握している限りスケジュール通りではなかったですね。
ミッション系石川さん:人的スケジュールが合わないのが大変だった。予定が合わず来週、再来週となってしまうことでスケジュールがどんどんずれてしまった。
--スケジュールが合わない・・・・・。
ミッション系石川さん:はい。会社ではないので、なかなか人のスケジュール調整が難しかった。衛星の結合試験になると、各系誰かいないといけないところがあるのだけど、その系の人がいなくて動かせたとしてもなにかおかしくなったときに対処できず、その日が終わってしまう・・・ということがあって、そこは苦労しました。
PM系加藤さん:いなきゃいけない人がいないのがけっこうありましたね。
深夜。画像データの送受信がうまくいかず苦戦中。
朝。アンテナ展開が、こちらの作った通り30分たった後にちゃんと動くかどうかのテスト中。後ろで仮眠をとる方が。。。
徹夜明けで寝る加藤さん。
-- 他の人を見て大変そうだなぁと思った事はありますか?
熱構造系武部さん:通信系、ミッション系、C&DH系は夜通し動作チェックをしており、大変そうでした。
姿勢制御系O村さん:姿勢制御系以外みんな大変そうだなぁと思いました。
PM系加藤さん:通信系、あと熱構造系の武部さん。それから電源系も。電圧が出ないとかで苦しんでたけど助けられない、頑張れとしか言いようがない。
PM系嶋村さん:サポートしましたよ~
PM系加藤さん:嶋村さんはそうかもしれないけど。自分は専門外過ぎて何もできなかった、ソフトならまだやりようがあるかもしれないけど。
ミッション系石川さん:C&DH系も大変そうだった。あの系だけ、上も通信系が何も言わなければ動かないし 下もミッション系、電源系が返事をしないといけない、周りになにかいないと動けない系なので、テストをしようにも自分でソフトウェアで疑似的なものを作って対応しなければいけないので大変だと思いました。
お昼過ぎ、加藤さん起床!まだまだがんばるぞ~!
差し入れのからあげくんで、もぐもぐタイム。
からあげくんも食べたところで死闘編、さらに突っ込んだ話へと続きます。
文系女子が人工衛星開発を追いかけてみた【RSP-00フライトモデル死闘編(後編)】もおたのしみに!
【この記事を書いたメンバー】
技術広報もえ
趣味は宇宙開発と阿波踊り
好物はビールと焼肉